
5分でわかる!SAPIX小学部ってどんな塾?

中学受験塾SAPIXのメリットとデメリットを元講師が解説
首都圏の中学受験事情を調べていると必ず耳にする塾がSAPIX小学部です。SAPIXの概要、メリットとデメリット・どんな人にオススメなのか、元SAPIX講師が解説します。
SAPIXの概要
SAPIX小学部は一都三県と関西に50校舎を構える中学受験指導塾です。
TAP進学教室から分裂して1989年に設立されたSAPIXは、速い授業スピード・徹底的な復習主義を貫くことで、当時から現在に至るまで首都圏の中学入試を席巻しています。
名前の由来はラテン語で「叡智」や「正しく考える」を意味する言葉だそうです

SAPIXの3つのメリット
① 高い合格実績

難関中学校の合格者数がSAPIXの強さを物語っています。
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SAPIX小学部は、開成中や桜蔭中など最難関中の合格実績で他の大手塾を圧倒しています。
塾によって在籍生徒数や合格実績の集計方法が違っているので、比較データは参考程度に留めることをおすすめしますが、最難関中の合格数ではSAPIXがかなり際立つ結果です。
高い合格実績を上げる→次年度以降の優秀な生徒が入塾→高い合格実績…というサイクルが生まれ、首都圏の難関中受験ではSAPIX一強時代が到来しているといっても過言ではありません。
もはやSAPIXのライバルは他塾ではなく、SAPIXの他校舎だとも言われています


② 良質なオリジナル教材

SAPIXが他塾と差を付けた最大の理由はオリジナル教材にあると思っています。
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SAPIXは教材会社のテキストではなく、独自開発の教材を使用しています。よく練られた良問が多く、微調整を重ねながらブラッシュアップしている印象があります。
・無駄な問題が省かれている
・思考力を試す問題に低学年から触れる
・知識事項は副教材を活用
・算数の典型問題は数値を替えて反復
・受験のトレンドを反映した問題(志望校別プリントなど)
そのほかにも…
重要単元を繰り返し学習する「らせん状(スパイラル)」カリキュラム・復習重視の授業方針・講師向けの研修資料など充実要素はさまざま。講師個人はもとより、組織やシステムの質の高さを感じる塾です。

③ 中受塾としては平均的な費用
SAPIXの授業料(下表)は高いと思われがちですが、大手中学受験塾の中では平均的です。
学年 | 1か月の授業料(税込) | 月数 | 年間の授業料(税込) |
---|---|---|---|
1年生 | 22,000円 | 9か月 | 198,000円 |
2年生 | 23,100円 | 11か月 | 254,100円 |
3年生 | 25,300円 | 11か月 | 278,300円 |
4年生 | 45,650円 | 11か月 | 502,150円 |
5年生 | 57,750円 | 11か月 | 635,250円 |
6年生 | 66,000円 | 11か月 | 726,000円 |
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上記の授業料は他塾と比べて最大で1万~1.5万/月ほど高い金額です。しかし、SAPIXの授業料には教材費やテスト費用など諸経費が含まれていて、実際の差はそれほど大きくなりません。
平均的とはいえ、1年生から卒塾まで6年間通うと約400万円。高い…



SAPIXの3つのデメリット
① 上位向け授業で下位層が置き去りに
SAPIXでは成績下位層が置いていかれがち。その要因はテキストと授業スピードにあります。
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SAPIXの平常授業のテキストは1種類のみ。α1からAまで全コースで同じものを使いますが、他塾と比べると難しいテキストです。授業中に扱える難易度の問題が少ない場合には、講師が自作問題を出すこともあります。
授業の進度が速いのもSAPIXの特徴で、各コースの上位2割に合わせたスピードで授業が進むとも言われています。学年が上がるにつれて、授業内だけで理解できない生徒が多くなるのも当然でしょう。
その結果なにが起きるかと言えば、家庭学習の負担増につながります。
気を付けたいのは「SAPIX内の成績下位層=勉強ができない子」ではないということ。SAPIXには優秀な生徒が集まっていて、小学校よりかなりハイレベルな世界での争いです。

② 家庭の負担が大きい
デメリット①に起因して、SAPIXでは他塾以上に保護者のサポートが不可欠です。
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・テキストの管理、コピー
・家庭学習の指導
・家庭学習のスケジュール決め、進捗管理
・マンスリーテストや組分けテストの復習サポート
・通塾の送り迎え(低学年?)
・お弁当作り(6年生から)
これはあくまで一例ですが、やらなければならないことも多岐にわたるため家庭の負担が大きいと言われます。塾に入れれば成績を上げてくれる、志望校に受からせてくれる、、、という甘い考えを持っていると、入室後のギャップで慌てるかもしれません。
SAPIXの授業で使うテキストは当日配布されます。
1日6冊ぐらいのペースで増えていくので管理が大変です(定期的に処分するという意見も)。

③ ドライな雰囲気
SAPIXは合理主義的でドライな雰囲気がある塾です。
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熱血教師にスパルタ指導を受けさせたい方には物足りなさがあるかもしれないため、他塾を選ぶのがオススメです。
ドライというと少しネガティブな響きがあるかもしれませんが、SAPIXでは過剰なサービスを行わない代わりに授業や教材を充実させているという表現が正しいと思います。SAPIX側が積極的に家庭へ関わろうとはしないものの、家庭の求めがあれば学習相談や進路相談に応じてくれます。押しつけがましくなく、家庭との適度な距離感を保つ点には好感を持つ保護者も多いようです。
保護者も子も、わからないことは積極的に質問するのがSAPIX活用のポイントです!

SAPIXはこんな人にオススメ
勉強が得意
勉強が得意な子や知的好奇心がある子はSAPIXに向いています。
積極的に本や図鑑を読みたがる子・誰もが見過ごす自然現象を疑問に思うような子はSAPIXをオススメしたいです。自分の得意を発揮できる場であることはもちろん、旺盛な好奇心を満たせるのもSAPIXが楽しい理由なのでしょう。
最難関中を受験する
御三家や筑駒・渋幕などの最難関中を目指す子は、SAPIXを選ぶのが現状の最善策だと考えます。テキストと講師の質が平均的に高く、最難関中の志望校対策が充実しているためです。
一緒に授業を受ける生徒のレベルが高いのも大きなメリット。受験直前の精神的につらい時期を、ライバルに負けじと頑張れるのは個別塾にない強みです。

競争意欲がある
テストの成績によってSAPIXではコース昇降をおこないます。
このようなテストで競争意欲を持てる子や、負けず嫌いな子の方がSAPIX向き。一喜一憂しすぎるのも良くないですが、上昇志向がある方が塾を楽しめるものです。反対に、競争意欲がない子だと「上には上がいる」と思って心が折れてしまうこともあるようです。
親に時間or経済的余裕がある
前述の通り伴走親の仕事はさまざまあり、時間的な余裕がないとサポートが困難です。個別塾に頼るという手段がありますが、経済的な余裕とも相談する必要があります。
精神的負担が大きくなるのは親も同様なので、なるべく余裕を持ちたいものです。


まとめ
SAPIX小学部の特徴がお分かりいただけたでしょうか?
本サイト「サピログ」ではSAPIXや中学受験塾のほかにも、受験のトレンドや勉強法を解説していきます。ご質問やご相談があればお問い合わせフォームからお寄せください。