【座談会②】SAPIX夏期講習、小4サピ生の気付きと秋の目標

前回の記事に引き続き、SAPIX小4生を育てる保護者3名にお集まりいただき、夏の過ごし方や学習リズム、家庭内のリアルな様子を本音で語っていただきました。
参加者の紹介
前回に引き続き、SAPIXに通う小4生の保護者3名にご参加いただきました。(敬称略)

- 夫のみ中受経験あり/夫の中受サポートはほぼなし
- SNSで積極的に情報収集中
- 個別塾は利用していない
- 「やる気に波がある息子と毎晩バトル気味。先が不安です…」

- 自身も夫も中受経験あり/中受サポートは夫と半分ずつ
- 姉の同級生のママ友と受験情報を共有
- 個別塾は未利用(姉は小5から利用)
- 「姉と違ってのんびり屋の息子。油断できない時期です」

- 自身も夫も中受経験なし/夫の中受サポートはほぼなし
- 情報収集はほとんどせず、塾頼り
- 個別塾は過去に利用→現在はやめている
- 「軽い気持ちで踏み込んだ中学受験界、魔窟のようです」

ライバル意識と「気付き」があった夏期講習

SAPIXの夏期講習で、お子さまの成長を感じたことはありますか?

息子は普段“やればできるタイプ”なんですけど、その“やる”までが遠くて。でも、講習で連日塾に通ううちに「どうせ復習するなら、その日のうちに済ませたほうがラク」って気づいたらしくて(笑)
自分から計画を立てるようになったのは、すごく大きな変化でした。

え、それめちゃくちゃ羨ましいです…。
うちは“自分からやる”のハードルがまだ高いんですけど、講習期間中に「分からないところを放置すると、次の授業がさらに分からない」って体感したみたいで、それは収穫でした。

あと、本人が「クラスでこの問題できてた子がいた」って、急にライバル意識を持ち始めたんですよね。これまでそういうの皆無だったから、内面的な変化としては結構大きかったかも。

クラスでたまたま同じ小学校の子がいて「○○ちゃんもやってるから、私もやる!」っていう動機が生まれたのが良かったなって。
子どもってやっぱり“環境で育つ”んだなぁって思いました。

分かる分かる。うちも娘のときは一人で突っ走るタイプだったけど、息子は周りがどうかでやる気が全然変わるんですよね。

うちも同じです。先生のちょっとした一言とか、隣の子のやってる内容とかにすごく影響されてて。
「塾の力って、こういうところにもあるんだな」って改めて思いました。

私は「夏を乗り切った」という経験そのものが、本人の自信になった気がしてます。講習の最終日に「私、がんばったよね」って言ってきて、それだけで「ああ、行かせてよかったな」って思いました。

皆さんが感じるようなお子さんの変化、授業をしている講師にも伝わるときがあります。
発言内容・話の聞き方・問題の取り組み方にも表れますが、一番の違いは「目の輝き」なんですよね。あいまいな表現で恐縮ですが、もっと知りたい!と思っているお子さんは、コースや学年に関係なく目が輝いている気がします。

あ〜、なるほど。私たちはつい点数とか“やった量”に目が行きがちだけど、子どもってちゃんと内側でも変化してるんですね。
“もっと知りたい”って目をしてたら、それだけで親としてはもう十分頑張ってるって思えるかも…。
勉強の優先順位付けと精神的なサポート

皆さんが今、お子さまの勉強で「困っていること」はありますか?

もう、困ってることだらけです…(笑)
一番大きいのは“復習の優先順位”が分からないことですかね。

算国を優先すべきだとは思うのですが、うちの子は理社の基礎知識すら怪しいので「どっちを先にやる?」って悩んでるうちに、両方とも中途半端に…。

うちも似てます〜。娘は理解してるつもりでも、テストになると点が取れない単元があって「あれ?ちゃんと分かってなかったの?」ってなることが多くて…。
親の私が「解説できるほど分かってない」単元もあるので、個別塾も頭をよぎるけど「そこに頼るのはまだ早いのかな?」とか「まずは親が何とかすべきかな…?」とか、いろいろ葛藤があります。

うちは、息子の“波”ですね。調子いいときはスイスイ進むけど、ちょっとつまずくとすごく引きずるタイプで…。
例えば算数で1問解けないと、次の問題にも手がつかなくなっちゃう。そういうときに「親がどう声をかけるか」がすごく難しいんです。
以前、上の子で使っていた個別塾はそういう“精神面”も含めてフォローしてくれたので、下の子にもそのうち検討してもいいかな、とは思ってます。

そうそう!“精神面のサポート”って、結局いちばん大事なんですよね。
怒ると逆効果だし、ほっとくと不安が溜まるし、ちょうどいい距離感がほんとに難しくて…。

「何かを外注すべきか」「このまま自走させるべきか」って、ずっと揺れてます。
うちは個別塾が合わなくてすぐに辞めてしまいましたが、そのときに「今必要なのは“学習管理”なのかも」って気づけたのはよかったなって思ってます。

“教える”より“整える”ってことですよね。それをどこまで親がやるか、外に頼るか…。本当に考えどころですよね。
「関係性」を壊さないための個別指導塾

ウチダさんは「上の子で個別塾を使っていた」とおっしゃっていましたが、利用に踏み切ったキッカケは何ですか?

あ、はい、覚えてます。
上の子は小5の春に、算数でつまずいたのがきっかけでした。
それより前にも算数のニガテ単元があって「このままじゃ置いていかれるかも」って焦り始めてた時期だったんです。

で、ある日、本人が泣きながら「もうわからない」って言ったことがあって…。私もいろいろ調べてみたんですけど、教えようにも“教えられる側の気持ち”が分からないので、余計にギクシャクしてしまって。

わかります…!「親が教えると険悪になる」って、あるあるですよね。

うちも前に同じ状況で、「どう教えればいいか分からないから、つい強く言っちゃって」ってなりました…。

そうそう。だから最終的に「教えるスキル」だけじゃなくて「関係性を壊さない仕組み」として、個別塾にお願いしてみようってなったんです。
で、週1回、今やってるSAPIXの単元をそのまま扱ってくれるところに通わせてみたら、すぐに手応えがあって。いいタイミングで相談できたと思いました。

なるほど…。うちも、子どもとぶつかりがちなので、「勉強のプロ」に任せるっていう視点、ちょっと前向きに考えてみたいな。

「塾の教材をきちんと理解すれば成績は上がる」というのがSAPIXの考えにあるので、手元にある教材の理解度を高める個別塾なら、SAPIXの方針にも背かない感じがありますね。

目的がぶれないなら、手段は柔軟でもいい

「塾を併用する」ということに抵抗はありませんか?

うーん、私は最初、ちょっと抵抗がありました。
というのも「SAPIXだけで合格した子もいる」って聞いてたし、塾を増やすことで子どもに負担が増えるんじゃないかっていう不安が強くて。

でも実際に家庭でサポートしきれない現実があると「併用すること=逃げじゃない」って思うようになってきました。
“目的がぶれないなら、手段は柔軟でもいい”っていう感覚です。

私はもともと抵抗なかったかもです。
むしろ「SAPIXのフォローまで全部自分で見るのは無理」って、最初から思ってたので。ただ、費用の面とか、どこまで任せていいのかの“さじ加減”が分からなくて踏み切れない、っていうのはあります。

私は今は賛成派ですね。でも昔はちょっと否定的だったんです。
「子どもが自分で乗り越える力をつけなきゃ」って思ってたし、塾を増やすと“管理されるだけの勉強”になっちゃうんじゃないかって心配で。

でも、実際に娘の成績が安定してきたのって、個別を併用して“わからないところをすぐに潰す”習慣がついてからなんですよ。
だから今は「“ちゃんと助けを借りる”って大事だな」って考えています。

たしかに…。“自分で解決する力”を育てるためにも、ちゃんと“壁を越える経験”が必要ですもんね。

そしてその壁って、時には“第三者”のほうが乗り越えやすいってありますよね。親だと感情が入っちゃって、同じことでも伝わり方が違うというか…。

うん、結局は「誰と勉強するか」よりも「どう学べるか」が大事なんだなって、上の子の経験からすごく感じます。
秋の目標は「ペースを崩さず、先を見据える」

最後の質問です。
秋以降の学習について、何か目標があれば教えてください。

うちは…“SAPIXに付いていくだけで手一杯”かもです(笑)
でも本音は、そろそろ「目の前のことをこなす」から「少し先を見て動く」にシフトしたいなって。
SAPIXのテキストって、意識して見直すとすごくよくできてるじゃないですか。だから“ちゃんと消化する力”を秋のうちに付けさせたいです。

うちは「ペースを崩さない」が第一目標です。夏期講習後って、気持ちがふっと緩むタイミングなので。
“1日1時間だけは机に向かう”とか、“国語と算数は週末で重点的に見直す”とか、細かくルールを決めて「続けること」に重点を置きたいです。

うちは“志望校”に興味を持たせていこうかなと思ってます。
もちろん今すぐ本気で選ぶわけじゃないけど「こういう学校があるんだよ」「こういう子が通ってるよ」っていう話をするだけでも、“なんで勉強するのか”っていう目線が少し変わると思うんですよね。
アクセスのいい学校がちょうどイベントを開催するので、何校か一緒に見に行けたらいいな、と。

うわ、それいいですね…!うちは志望校って全然リアルじゃないから、そういう“ふわっと知る”ところから入ってみようかな。

うちも、まずは「どんな学校があるのか」「どこに通うとどんな生活になるのか」って、志望校を知ることから始めようかな…。
パンフレットをそれとなく見せてみたり、通ってる先輩の話をちょっとしてみたり、できることありそうですね。

結局、“秋の積み重ね”が次の春以降にすごく効いてくるので、今は焦らずに“じっくり整える”時期なのかもしれませんね。

ペースを崩さず、少しずつ“先”を見据えていけたらいいですね。
皆さま、本日はご参加いただきありがとうございました!
あとがき(編集スタッフ)
およそ1時間の座談会の中で、参加者の皆様にたくさんの本音を聞かせていただきました。
同じ小4生の保護者という立場でも、見ている景色や視線の先にあるものが微妙に違うことが分かるのではないかと思います。正解のない中学受験だから、こうした“思いの共有”が保護者の方の支えになれば幸いです。