【小規模ver.】どちらを選ぶ?SAPIXの大規模校舎vs小規模校舎
SAPIXの小規模校舎のメリット・デメリットを元講師が解説
高い進学実績を誇るSAPIX小学部は、校舎ごとの規模感に差があります。
大規模校舎を紹介した前記事に続き、本記事では生徒数が少ない小規模校舎にフォーカス。
規模の小さい校舎を選ぶメリットやデメリットをご紹介します。
「小規模=人気がない」と思われがちですが、決してそんなことはありません。
本記事でその小規模校舎の魅力をお伝えしていきます。
そもそも「小規模校舎」とは?
メリットやデメリットの前に、小規模校舎のイメージをつかんでおきましょう。
基本は1校舎につき平均150人の6年生が在籍
SAPIX小学部は、東京と千葉・神奈川・埼玉に45校舎を構えています。
校舎ごとに在籍生徒数は異なるため、最も多い6年生で人数を比較してみましょう。
SAPIXの1校舎に在籍する6年生は平均約150人ですが、大規模校舎には200人以上の生徒が在籍しています。
小規模校舎の6年生は50~60人
サピログでは、在籍6年生が50~60人前後の校舎を小規模校舎と呼んでいます。
平均の3分の1しか生徒が在籍していないと言えば、いかに小さい校舎かお分かりいただけるでしょう。
SAPIXの小規模校舎ランキング上位10校
続いて、SAPIXの小規模校舎ランキングの上位10校(=少ない順)をご紹介します。(東麻布校・晴海校を除く)
カッコ内は2024年度における卒塾生の人数です。
神奈川と埼玉に小規模校舎が多いことが分かりますね。
テキスト・授業の時間割はどの校舎も一緒
SAPIXでは一部の講習を除き、どの校舎も共通の時間割で授業を展開しています。
また、全校舎で統一のテキストを授業当日に配布して使用するスタイルです。
つまり、校舎が違っても授業内容やスケジュールに差はありません。
SAPIXで小規模校舎を選ぶメリット
ここまで、SAPIXの小規模校舎の基礎知識をご紹介しました。
では、実際に小規模校舎を選ぶのはどんなメリットがあるでしょうか?
コースの昇降が少ない
小規模校舎は人数が少ないので、大規模校舎よりコースの昇降が頻繁ではありません。
大規模校舎では、テストの平均点あたりの狭い点数の範囲に数十人の生徒がひしめき合っています。
1点の差でコースが上下することもよくある話です。
一方、小規模校舎では、狭い点数の範囲に数十人の生徒が集まるケースは多くありません。
小規模校舎のコースは、最上位と最下位で8割・中位でも7割くらいが固定のメンバーです(筆者の体感です)。
同じ講師に長く担当してもらえる
小規模校舎の第二のメリットは、同じ講師に長く担当してもらえることです。
ブロックが昇降すると、担当講師が変わることがあります。大規模校舎だとブロック昇降も多くなりますが、これは毎月違う講師が授業を担当する可能性もあることを意味します。
講師が変わってもテキストは統一なので、授業内容に大きな変化はありません。
しかし、講師に裁量のある部分(授業の進め方・家庭学習の指示など)には、多少の違いがあります。
先生がコロコロ変わるのが心配なら、小規模校舎を選んだ方が確実でしょう。
SAPIXで小規模校舎を選ぶデメリット
小規模校舎にもメリットがあることをご紹介しました。
その反対に、ここからは小規模校舎のデメリットを解説していきます。
競争意識が失われやすい
小規模校舎の第一のデメリットは、競争意識が失われやすいことです。
先ほど、小規模校舎はコースの昇降が少ないことをメリットに紹介しましたが、これはよく考えると一長一短。勉強する仲間や担当講師が変わらない点はメリットですが、競争意識が下がりやすい点はデメリットだとも言えます。
SAPIXは入室難易度が高く、ハイレベルな仲間と切磋琢磨できますが、同じ顔触れだと競争のモチベーションが下がる生徒も一定数います。これは、小規模校舎が抱えるデメリットのひとつです。
講師や生徒に緊張感がなくなりがち
第一と重複しますが、緊張感がなくなりやすいこともデメリットです。
講師や生徒の顔触れが変わらないということは、どうしても馴れ合いの空気が生まれがち。
上位コースでは団結感や結束力が生まれるのですが、中位~下位コースでは「友達も勉強していないから…」と、悪い空気感になりやすいのです。
筆者が新しく中位~下位コースを担当するときは、この空気を変えることを意識しました。
SS特訓の単独コース数が少ない
見落としがちな小規模校舎のデメリットに、SS特訓の単独コース数が少ないことがあります。
6年生の9月から1月までの日曜日に開講するSS特訓SS(サンデーサピックス)特訓は、以下の講座に分かれています。
- 志望校別講座 80分授業×4コマ
- 単科講座 100分授業×2コマ
AM志望校別→PM単科、またはAM単科→PM志望校別のどちらかです。
講座の順番は年度や校舎によって異なります。
このうちの志望校別講座は「開成コース」「桜蔭コース」など、志望校名を冠したコースが設置されます。
しかし、早稲田コース(早稲田・早実・学院)・男女難関コース(さまざま)など、合併コースが開設されることもあります。
合併コースを開設する理由を、表向きでは「問題形式が類似しているため」としています。しかし小規模校舎においては、その学校の志望者が少ないことも背景にあるでしょう。
SS特訓の単独コース数が少なく、第一志望の対策がおろそかになる可能性も否定できないのは、小規模校舎のデメリットです。
なお、志望校の単独コースが自校舎で開講されず、他校舎では開講がある場合、SS特訓のみ校舎移動を認めるケースがあります。
コース編成や開講校舎は年度によって異なるので、校舎窓口に相談するのがオススメです。
小規模校舎に向いている生徒とは?
最後に、小規模校舎に向いている生徒の特徴を紹介します。
環境変化のストレスに敏感な生徒
第一に、環境変化のストレスに敏感な生徒です。
コース昇降や担当講師の変更の少なさが、良くも悪くも小規模校舎の特徴であると紹介しました。
環境変化でストレスを感じやすい生徒は、この小規模校舎の特徴とマッチして、大規模校舎に在籍するよりも勉強に集中できる印象です。
反対に、大規模校舎にマッチするのは、精神的な自立心や主体性のある生徒です。
少しの環境変化では動じない、良い意味での「図太さ」がありそうなら、大規模校舎で切磋琢磨するのがオススメです。
自己表現が得意でない生徒
第二に、自己表現が得意でない生徒も小規模校舎向きです。
講師のサポートの手厚さ・講師間の情報共有の綿密さという点では、小規模校舎に軍配が上がります。「授業中に発言できない…」という、自己表現が得意でない生徒についても、小規模校舎ならフォローしてくれる雰囲気があります。
小規模校舎には「使命感にあふれる講師」が多い印象。
大規模校舎には、悪い言い方をすれば「ドライでビジネスライクな講師」が多い印象です。
大規模校舎に通うなら、積極的に塾を利用していく姿勢が欲しいところです。
学習相談を綿密にしたい生徒(保護者)
第三に、学習相談を綿密にしたい生徒(保護者)です。
小規模校舎だと、直近のテストの結果を踏まえるだけでなく、生徒の個性を把握した上で具体的なアドバイスをしてもらいやすくなります。より手厚いフォローや、塾との信頼関係の構築を重視するのなら、小規模校舎を選ぶのがオススメです。
まとめ
ここまで、SAPIXの小規模校舎のメリットやデメリットを解説してきました。
SAPIXでは大規模校舎が高く評価される傾向にありますが、小規模校舎にもメリットがあるとご理解いただけたでしょうか?
お子様に適した環境を選んで、個性や能力が発揮できることを願っています!