【大規模ver.】どちらを選ぶ?SAPIXの大規模校舎vs小規模校舎
SAPIXの大規模校舎のメリット・デメリットを元講師が解説します
「SAPIXに入室するが、どうやって校舎を選ぼう?」と悩む方がいます。
SAPIXのテキストや授業内容は全校舎同じなので、多くの方はアクセスで校舎を選びます。
しかし、SAPIXは首都圏に45校舎あるため、家から同距離に複数校舎あると悩みどころなのです。
こんなときは、校舎の規模で決めるのもひとつの手です。
SAPIXには在籍生徒の多い大規模校舎と、生徒数の少ない小規模校舎があります。
本記事では、200人以上の6年生が在籍する校舎を「大規模校舎」とします。
大規模校舎のメリットやデメリット・大規模校舎に向いている生徒の特徴をご紹介します。
小規模校舎が何かの面で劣っているかというと、そういう訳でもありません。
生徒数が少ない小規模校舎は、以下の記事で詳しく解説しています。
そもそも「大規模校舎」とは?
メリットやデメリットをご紹介する前に、大規模校舎の基礎情報を解説します。
1校舎あたり平均約150人の6年生が在籍するSAPIX
SAPIXは、校舎ごとに在籍生徒数の差が大きいことでも知られています。
人気の差がある訳ではなく、校舎の設備や教室数などのキャパシティが主な理由です。
SAPIXの1校舎に在籍する6年生は、平均約150人です。
大規模校舎には200人以上の6年生が在籍する
200人以上の6年生が在籍する大規模校舎は、生徒が多い分だけ教室や講師も多くなっています。
教室棟が複数あったり、受付が広く設けられていたりするのも特徴です。
SAPIXの1コース当たりの人数は基本的に15~20人。
最も大規模な校舎には1学年あたり400人以上の生徒が在籍していますが、単純計算で20~27コースあることになるので驚きです。
テキストと授業内容はどの校舎も一緒
前述した通り、SAPIXのテキストや授業内容は全校舎同じ。
そのため、家や学校からのアクセスで校舎を選ぶのが基本となっています。
「いい先生のいる校舎を選びたい!」という気持ちは分かります。
しかし、どの講師も2~3年ほどで異動となり、最終学年まで担当してもらえるかは分からないので要注意です。
SAPIXの大規模校舎ランキング上位10校
続いて、SAPIXの大規模校舎ランキングの上位10校をご紹介します。
カッコ内は2024年度における卒塾生の人数です。
- 東京校(432人)
- 自由が丘校(399人)
- 吉祥寺校(315人)
- 横浜校(279人)
- 巣鴨校(240人)
- 豊洲校(240人)
- 成城校(233人)
- お茶の水校(221人)
- 練馬校(211人)
- 大井町校(200人)
東京校と自由が丘校が圧倒的です!
どの校舎も複数路線が乗り入れる駅から徒歩圏内で、遠方からのアクセスも便利です。
SAPIXで大規模校舎を選ぶ4つのメリット
ここからは、SAPIXで大規模校舎を選ぶメリットを紹介します。
大規模校舎の魅力はさまざまですが、主に以下の4つが挙げられるでしょう。
競争意識が刺激される
第一にして最大のメリットは、競争意識が刺激されることです。
SAPIXで授業を受けるコースは、マンスリーテストや組分けテストの結果によって昇降します。
生徒数の多い大規模校舎だと、数点差の範囲に多くの生徒がひしめき合うため…
→わずか1点の差でコースが分かれる
→頻繁にコースの昇降が起こる
→「1つでも上のコースを目指そう!」という気持ちが芽生える
と、上位コースを狙うモチベーションにつながるでしょう。
一方の小規模校舎は、高学年でも5~6コース程度。
テストでコースが変わらないことも多く、特に中位から下位コースでの競争意識が低くなりがちです。
SS特訓(志望校別講座)の単独コース数が多い
6年生の9月から1月までの日曜日に開講されるのがSS(サンデーサピックス)特訓です。
SS特訓の1日は、以下の講座で構成されます。
- 志望校別講座 80分授業×4コマ
- 単科講座 100分授業×2コマ
このうち、志望校別講座はその名の通り、志望校の対策に特化したコースが作られます。
例:「開成コース」「桜蔭コース」
しかし小規模校舎の場合、志望する生徒が少ない関係で合併コースになることも。
例:「桜女豊コース」(←桜蔭・女子学院・豊島岡の合併)
○○中学校が第一志望だけど、その対策は3週に1回しかやってもらえない…
という事態になりかねません。
大規模校舎だと志望校別講座のコースが単独で作りやすくなります。
それに加えて、志望者が多い学校の講座では複数の単独コース(変な日本語ですね)が作られます。
例:「開成1コース」「開成2コース」
複数の単独コースがあると、授業での得点に応じてコース昇降が発生します。
このように、直前期まで競争意識を持って勉強できるのも大規模校舎のメリットです。
自校舎に志望校の単独コースがない場合、SS特訓のみ校舎移動する荒技もあります。
単独コースの有無は校舎だけでなく年度によっても異なるので、校舎に問い合わせるのが確実です。
講師や生徒間の馴れ合いがない
コースが頻繁に変わる大規模校舎では、生徒間の馴れ合いがないのもメリット。
余計なトラブルを避けるため、コース昇降が多い大規模校舎を選んだというご意見もありました。
さらに、講師と生徒の間でも馴れ合いが起こるものです。
安心感よりも緊張感を持って通塾したいなら、大規模校舎の方がオススメです。
このあたりは一長一短です。
わざと「馴れ合い」なんて嫌な言い方をしましたが、逆に言えば、自分(生徒や家庭の事情)を先生がよく理解して向き合ってくれている、とも言えますし。
それからそもそも、馴れ合うかどうかは校舎規模に起因するよりも、講師個人の資質によって大きく左右されるポイントですし。
あくまでも傾向として、小耳に挟んでもらえたら幸いです。
上位コースをレジェンド(伝説)級の講師が担当する?
SAPIXの大規模校舎には、会社を代表するレジェンド級講師が在籍しています。
深い見識と経験に裏打ちされた講師の授業は、若手講師が小手先でマネできるレベルではありません。
そしてこのような講師は、すでに管理職クラスだったり逆に非常勤だったりして、他の若手講師のように多くの授業を担当しないのが一般的です。
最高峰の授業を味わいたいなら、大規模校舎で上位コースを目指すのもオススメ。
念のため付け加えますが、小規模校舎にも素晴らしい講師がたくさん在籍しています。
(というか、SAPIXの講師はどの校舎もハイレベルで均質です。大手塾の層の厚さを感じられます)
また、レジェンド級ながら小規模校舎にいらっしゃる方もちらほら…
会社側にも思惑があるようですが、筆者がその世界を知ることはありませんでした。
SAPIXで大規模校舎を選ぶ2つのデメリット
ここまで、SAPIXの大規模校舎のメリットをご紹介しました。
強みが多い大規模校舎ですが、反対にデメリットはどんなものがあるでしょうか?
コースの昇降が多い
大規模校舎はテスト1点の差でコースが変わることもあるほど、コースの昇降が多いです。
メリットとして取り上げたポイントですが、これはデメリットでもあります。
競争意識が弱い生徒・なるべく変化の少ない環境で学びたい生徒にとって、コース昇降が何度も繰り返されるのは好ましくないことかもしれません。
競争したくない生徒は、そもそもSAPIXに向いてないのでは?と思う節もありますが…
担当講師が変わりやすい
大規模校舎ではコース移動が多いということは、ブロック移動も多いことを意味します。
ブロックが変われば授業の担当講師が変わるので、授業スタイルや家庭学習のチェック方法なども変わる可能性が増えます。
もちろん、小規模校舎の講師も異動で変わることはありますが…。
同じ講師に長く担当してほしい場合には、小規模校舎の方が好ましいでしょう。
大規模校舎に向いている生徒とは?
では最後に、大規模校舎に向いているのはどんな生徒でしょうか?
筆者の思う2つの特徴をご紹介します。
健全な競争心がある生徒
健全な競争心がある生徒は、大規模校舎に向いていると言えます。
学校にはいないような優秀なライバルを前にして「負けじと自分も頑張りたい!」と思えるタイプの生徒は、大規模校舎で飛躍的に成長していくでしょう。
特に大規模校舎の上位コースは、競争を楽しむ雰囲気で満ち溢れています。
一方、歪んだ競争心はカンニングなど不正行為の恐れもあります。
ただ競争心を煽って成績を求めるだけでは、健全な競争心につながらない点に注意が必要です。
塾や講師を利用する生徒
塾や講師を利用する姿勢がある生徒も、大規模校舎に向いています。
小規模校舎と異なり、大規模校舎では担当講師が生徒ひとりひとりの個性・弱点を把握できていないことも。そんな状態で、講師に具体的な学習アドバイスを求めても「しっかり授業を復習しようね」「デイリーチェックで高得点を目指そうね」など、曖昧なアドバイスに終始されることがあります。
大規模校舎に所属するなら受け身になるのではなく、積極的に発言したり質問教室を活用したりして、塾のサービスを利用する姿勢があるとよいでしょう。
高い月謝を払っているんです!
疑問や相談があれば、保護者もどんどん塾を利用してください!
まとめ
ここまで、SAPIXの大規模校舎のメリットやデメリットを解説してきました。
SAPIXの魅力を最大限に享受するため、入室する校舎の規模も考慮したいところ。
お子様やご家庭にとって最適な環境で、学びを深めていきましょう!