コージ
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元SAPIX小学部講師
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埼玉県某塾→SAPIX小学部→システムエンジニア/ブロガー SAPIXでは国語科講師として首都圏校舎に約10年勤務。卒業生には開成・麻布・女子学院などの合格者も。
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学習のポイント

元SAPIX講師が漢字指導で意識していた3つのポイント

コージ

元SAPIX講師が語る!漢字の指導で大切な3つのこと

多くの子供が苦手分野に挙げる漢字は、国語におけるひとつの関門です。
そこで本記事では、SAPIXで10年以上にわたり国語科を担当した筆者が、漢字指導のときに意識した3つのポイントをご紹介します。

先に結論を言うと、ポイントは次の3つです。
漢字勉強に目的意識を持たせる
漢字を自分で使えるレベルにする
漢字の勉強をしたらほめて伸ばす

興味のわいた部分だけでも、ご一読いただけたらうれしいです!

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①漢字勉強に目的意識を持たせる

漢字勉強で大切なことの一つ目は、漢字勉強に『目的意識』を持たせることです。

登山にたとえるなら、目の前の坂道をあてもなく歩き続けるよりも、山頂という目的地を決め、距離を測りながら歩いた方が頑張れるのと同じ。
あてもなく取り組むのではなく「最終的に漢字勉強にはどんな目的があるのか?」を明確にしてあげることで、生徒の内側からモチベーションアップを図ることが重要です。

目的意識を付けるために簡単なのは、次の3つのような声掛けです。

低学年:漢字があれば思いを正しく伝えられる

漢字は、自分の言いたいことを正しく伝えるために役立つ道具です。

たとえば、有名な例に「ここではきものをぬいでください」という文があります。
この文は、ひらがなで書くと2通りの意味がありますが、漢字で表記(履物・着物)すれば意味の誤解が生じなくなります。

他の例には
「ぱんつくったことある?」(パン作った/パンツ食った)
「テレビのみすぎ」(テレビの見過ぎ/テレビ飲み過ぎ)
などがあります。

弁慶にまつわる代表的な例文1から、これらを「ぎなた読み」と呼ぶこともあるようです

ぎなた読み

「弁慶が、なぎなたを持って」と読むべき文を
「弁慶がな、ぎなたを持って」と誤って区切って読んだことに由来。

コージ
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自分の思いを正しく伝えるために漢字が役立つということは、主に小学校1~3年生に理解してもらいやすいメリットです。

もっとも、低学年だと難しい漢字はまだ少ない段階。
細かい理屈はさておき、お子様の良い所を見つけてたくさんほめてあげることが重要です。

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中学年:漢字が分かれば初見の言葉の意味が推測できる

4年生くらいになると、知っている漢字から知らない言葉の意味が想像できると気が付くかもしれません。

たとえば「局地的に大雨が降る」という文の「局地」という言葉。

郵便局や薬局などの知っている言葉から、「局」という文字が「小さく区切る」という意味合いだとイメージできれば、局地が「ごく限られた範囲」という意味だと連想できるでしょう。

もちろん、最初から100点の答えを連想できる必要はありません。
自分の知識を総動員して、知らない言葉でもなんとなく意味を掴む訓練を繰り返すことで、漢字に対する苦手意識が薄れるケースがあります。

分かることは、おもしろいこと。

講師や保護者が全てを教えてしまうと、こちら側の負担が大きくなる上に、分かることのおもしろさを奪いかねないので要注意です。

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高学年:「●●中では過去こんな漢字が出題された」という紹介

5~6年生で志望校がある程度決まっているなら、過去の入試問題を調べて、出題された漢字をリストアップしてみましょう。蛍光ペンで漢字テキストにマークを付けるのも良いアイデアです。

いつも漫然と取り組んでいた漢字勉強と「中学入試」がリンクしていることを体感させられれば、マークされていない漢字も「次の入試で出るかもしれない漢字」に見えてくるはず。ちょっぴり現金な指導法ですが(笑)、志望度の高い学校があるのなら、漢字勉強のスタンスを変えるのにオススメの方法です。

②漢字を自分で使えるレベルにする

漢字の問題で得点するためには、その漢字を知っている・読めるだけでは不十分なケースもあります。では、知っている・読める漢字を、状況に応じて「自分で使える」ようにするためには、どうすればよいでしょうか?

わたしは、このような方法をオススメします。

  • 漢字の意味を推測する
  • 漢字の意味を辞典で引く
  • 漢字を含む例文を作る

漢字の意味を推測する

初めて出会った漢字はすぐに調べるのではなく、無理にでもその意味を推測してみましょう

たとえば「専」という字があります。(小学校では6年生、SAPIXでは5年生で学習)
「専」の意味を即答するのは簡単ではないものの、これを使った熟語がないか4~5年生に尋ねれば、専用・専門・専業主婦(!)などいろいろな答えが出てきます。
では、これらの「専」を使った熟語の共通点を考えてみましょう。言語化するには大人のサポートが必要かもしれませんが「それだけに集中する」「いちず」「専ら(もっぱら)」という言葉で納得できるはずです。

重要なのは、すでに持っている知識を応用する姿勢です。

勉強机に向かう時間以外にも、子どもたちは学校・電車の中・本屋などでさまざまな情報に触れていますから、その情報と勉強が結びつくと記憶の定着にもつながります。

漫画やアニメで得た知識も、上手く応用できれば強い武器になりますよね

コージ
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漢字の意味を辞典で引く

漢字の意味を推測する以外に、漢字辞典で意味を確認する習慣を付けましょう。

調べた漢字の理解が深まることはもちろん、例文に目を通すことで語彙力アップにも効果的です。

大切なのは、漢字辞典で調べる行為を「習慣にする」ことです。引いた漢字の意味を一語一句書き写すマメな生徒もいましたが、この作業が原因で「辞典を引くのが面倒くさい…」と投げ出してしまっては本末転倒。

「たった1度調べただけでは覚えられなくて当然、分からなかったらもう一度調べればいい!」という軽い心構えで、辞書を引くハードルを下げておくのが、筆者がオススメする考え方です。

しばしば「紙の辞書じゃなきゃダメ?」というご相談もあります。
まずは辞書を引くハードルを下げるべきだと思うので、わたしは電子辞書賛成派です。

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漢字を含む例文を作る

漢字勉強の時間に余裕がある4~5年生までなら、例文を自作できるかチャレンジしてみるのもオススメです。もしも例文が作れたら、その漢字は自分で使えるレベルになったと言ってよいでしょう。

ただし、大人目線でその例文に違和感があれば指摘してあげるべきです。

たとえば「助」という漢字で、子どもが次の例文を書いてきたらどうでしょう。

お母さんの料理は、家族みんなの幸せを助長する

生徒
生徒

たしかに、この「助長」という言葉は次のような定義があります。

力を添えて、ある物事の成長や発展を助けること。また、ある傾向をより著しくさせること。

デジタル大辞泉

辞典の記述とは矛盾がないものの、この例文に違和感を覚えませんか?

実生活における「助長」という言葉は、ネガティブな意味で用いるシーンが圧倒的に多数。
この場合の「助長」は「もたらす」等に直すよう指摘してあげると、より正確で「生きた言葉」が身に付くようになるでしょう。

③漢字の勉強をしたらほめて伸ばす

文字には、書いた人の個性が現れるといいます。

正しく書けた漢字をほめてあげることは、大げさに言えば子どもの個性を認めることであり、自己肯定感を高めるきっかけにもなります。

漢字テストの場合、漢字の形が違う・棒が足りない・はねる部分を止めている…等は誤答とせざるを得ません。しかし、時間が許す限りは子どもの書いた漢字の良い所を見つけて、加点式に評価してあげたいものです。

良い所を見付けてほめる

「止めハネまで丁寧に書けたね!」「きれいなバランスで素晴らしい!」など、特に低学年のうちは、正しい漢字が書けたことを都度ほめてあげましょう。

家庭学習チェック時・低学年の漢字テスト採点時には、わたしも同様のコメントをノートに残していました。

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悪い所を自分で気付かせてほめる

正しい漢字が書けていない場合には、修正点を自分で気付かせたいものです。

「自分で書いた漢字と手本を見比べて、違うところを丸で囲んでごらん?」と問いかけると、おのずと修正すべき点が自分で見抜けるようになります。この時にも前向きな声掛けを心がけましょう。

自発的に漢字学習をしていたら絶対ほめる!

そのほか、上で紹介した「意味調べ」「例文づくり」を実践している様子なら、簡単にメモを残させ、成果を見返せるようにしておくと自信につながります。
自発的にこれらの取り組みができているなら、その場合もきちんとほめてあげましょう。

漢字勉強のポイントを押さえて苦手意識をなくそう!

ここまで、漢字勉強において筆者が考える指導ポイントをご紹介しました。

テストの点数が安定しにくい国語科において、漢字のような知識事項は確実に得点したい分野です。本記事でご紹介した3つのポイントを踏まえて、漢字の苦手意識を少しずつ克服していきましょう。

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